
ロードセルの仕様書(データシート)には”精度”の表記はなく、以下のパラメータで詳細に表現されます。これらの用語を正しく理解し、アプリケーションにロードセル仕様書を適用しながら、要件に最適なセンサーを選択願います。
Static Error Band, 非線形性、ヒステリシス、非再現性、クリープ、横力感度、偏心感度、分解能(出力)
これらパラメータの意味は用語説明をご参照願います。
非線形性
非線形性は測定の精度に直接影響するため、重要なパラメータであり、加えられた力と出力信号の間には直線関係があるのが理想的なです。しかし、実際には最小負荷と最大負荷間の応答は曲線となり、中心付近で理想直線と最も大きな偏差が生じます。そこで、非線形性はフルスケールの40%~60%で計測されるのが一般的であり、最大偏差を%FSで表示します。

ヒステリシス
ヒステリシスの基本5項
- ヒステリシスは負荷が増加している時と減少している時の最大の出力差をフルスケールの割合(%FS)で表現しています。
- 用途が単一上昇荷重のみであれば、ヒステリシスは無関係です。しかし、張力から圧縮へのサイクル荷重の場合、ヒステリシスは重要な誤差源となります。
- LowProfileロードセルは高剛性と最小の信号干渉を目的に設計されており、背丈が高いコラム型や、柔軟なSビームに比べて物理的なたわみが非常に小さい為、ヒステリシスは低く、0.02%~0.05%FSです。
- ロードセルの母材には高品質アルミニウム、特定の鋼材がありますが、アルミの方がヒステリシスがやや低いです。
- 校正時に用いられたトルクや締結条件を再現しないなど、不適切な取り付けは機械摩擦を生じさせ、ヒステリシスの増加を引き起こす可能性があります。
マイナーヒステリシス・ループ
ヒステリシスは負荷シーケンスに大きく依存します。手動テスト中の一般的な誤りは、ターゲット負荷をオーバーシュートすることです(例:60%を狙ったものの80%に達して後退してしまう)ことで、これによりセンサーがマイナーヒステリシス・ループに入ります。その結果、出力がキャリブレーション曲線と一致せず、誤差がゼロに戻らない結果になります。
Interface校正証明書には、性能下のロードセルのシリアル番号に加え、定格出力、SEB出力、非線形性、SEBが含まれます。静的誤差帯(SEB)は、非線形性とヒステリシスを組み合わせ、ベストフィット直線を中心とした単一のエンベロープにまとめています。これにより、複雑な荷重サイクルに対してより現実的な最悪ケースの精度が得られます。
ヒステリシスのチェック
- 上下シーケンステスト
キャリブレーションサイクルを行い、目標負荷の50%でデータを2回記録します。1回は上昇中(ゼロから増加)、もう1回は下降中(満容量から減少)します。同じ50%の数値が仕様を超えて異なる場合、ヒステリシスが発生します。 - ゼロへの復帰チェックフルスケールの負荷をかけてから完全に取り除いた後、センサーは元のゼロバランスに戻りますか? 長期間にわたるクリープによるものではない有意な残留オフセットは、センサーが前回の負荷のメモリを保持している典型的な指標です。
Interfaceシェア型LowProfileの特徴
横力感度、偏心荷重感度
非感度方向から荷重が入った時にはどのようなセンサーでも、信号として付加されます。高精度LowProfileロードセルは補正構造と、精密・繊細な製作、校正作業により以下表の通り微小な横感度を保証しています。どのような環境でも必ず、ロードセルにはかならず横力が発生しますので、横感度、モーメント感度はロードセル性能を把握する為の重要なパラメータです。
温度特性
- 補正範囲_℃:仕様書の上部には精度に関する各項目が明記されています。これら精度を保てる温度範囲です。
- 補正範囲_℃:ロードセルが物理的、電気的ダメージを残さず動作できる温度範囲です。
- Effect on Zero %RO/℃:負荷0の時、温度変化によりどれだけZero出力が変化するかです。
- Effect on Output %RO/℃:温度変化に対する出力(感度)の変化です。
定格出力、印加電圧 → 分解能
殆どのLowProfileロードセルの定格出力は4mV/Vと高出力です。(耐久仕様のみ2mV/V)
印加電圧Max.10Vのロードセルは一般的に熱発生による温度変化を考慮し5Vが推奨されます。
LowProfileは印加電圧Max.20Vであり、構造が相対的であり、温度が全体に伝わりやすい構造の為、10Vを推奨しています。
ロードセルの出力はこのように非常に小さな電圧の為、S/N比を改善する事は重要であり、以上により分解能が大きく改善されています。
比較
以下表はシェア型ロードセル定格荷重50kNの各社製品を列記しています。この表より以下が判ります。
・他社製には横感度、偏心感度が表記されていません。
・LowProfileは定格出力が他に比べ、2倍、印加電圧が2倍であり、分解能は合計4倍となる。
・他項目にも、LowProfileの優れた性能が表われています。

バイアス誤差と分散誤差
誤差をバイアスと分散に区別することで、適切な改善策、及び、ロードセル仕様を選択でき、製品やシステムの信頼性を改善します。
| バイアス誤差; | 分散誤差; |
| 多くの測定値の平均と実際に加わる力の差の事で、予測可能なオフセットを示しています。 | 個々の測定値が平均値の周りに広がったり分散したりする程度の事で、予測不能な変動を示します。 |
| 例えば、プレスの機械的なセットアップが微妙にずれていて、ロードセルの軸に対して完全に垂直でない場合、系統的なバイアスが生じ、実際の加力力より一貫して下回ります。 | 例えば、高速重量計はモーターの振動、電気的スパイク、パッケージの衝突によるランダムなノイズをフィルタリングしなければなりません。これら要因はロードセルの出力に予測不可能で、大きな分散をもたらします。 |
| この問題は、非線形性やヒステリシスなどのロードセル仕様にも反映されています | ランダム誤差のロードセルの重要な仕様は非再現性です。再現性が低いセンサーは、同じ負荷条件下で出力値に大きな散乱を示します。 |
構造物荷重監視
橋梁、ダム、大型産業構造物の構造健全性監視(SHM)など、長期的な安定性が求められる用途では、バイアスと分散の区別がさらに重要です。
| ロードセルに静的力が長期間かかると、感知材料がゆっくりと変形(クリープ)が発生し出力が徐々に変化しますので、最小限のクリープを持つロードセルを選択します。 | 急激でランダムな温度変動や湿度の変化は出力基準値(ゼロドリフト)にばらつきをもたらします。最小限の温度変化誤差を持ったロードセルを選択します。 |
| 長期間の温度変化により、ロードセルのひずみ計や周囲の補償回路の電気抵抗が変動することがあり、これもゼロドリフトの要因となり得ます。 |
解決策
- 変動は小さいが、バイアスが大きい場合
機械的なアライメントを修正、スケーリングファクターを調整、あるいは、正式なキャリブレーションマップを適用します。 - バイアスは小さいが、変動が大きい場合
減衰機構を導入、シールドを改善、あるいは、再現性が優れたロードセルを選びます。
ゼロバランス
ゼロバランスは、無負荷状態のロードセルの信号であり、定格出力の割合(%RO)で表されます。
ゼロリセット
ロードセルは測定のたびに常にゼロにリセットされ、精度を維持します。もしそうでなければ、結果は不正確であることが判明します。ゼロバランスは校正証明書に記載された誤差範囲内に収まっていなければなりません。Interfaceセンサーは通常+/-1.0%です。
損傷
ゼロバランスが10〜20%であれば、ロードセルに過負荷が加わり機械的損傷が行われた可能性があります。過負荷は曲げ要素やゲージ内に永久的な変形を引き起こし、仕様に合った性能を保つ為のバランスを破壊します。
過負荷後にロードセルを電気的に再零星させることは可能ですが、劣化を回復しないため推奨されません。過負荷の程度が軽度であれば、ユーザーの裁量で使用されることがあります。しかし、性能仕様に合致せず、ロードセルのサイクル寿命が短縮されることがあります。
追加パラメータ
ゼロフロートとは、等しい引張荷重と圧縮荷重の完全なサイクルによって生じるゼロバランスのずれです。通常は%FSの単位で表され、FS = 容量で特徴付けられます。
ゼロ安定性とは、環境条件、荷重履歴、その他の変数が一定のまま、一定期間にわたりゼロバランスが維持される度合いを指します。
セミナー
ロードセル仕様に関するセミナーを視聴できます。 画面右下の歯車、字幕をクリックして閲覧願います。

関連資料
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